おとぎ話 地球ってどんな星? その5

地球ってどんな星? その1
地球ってどんな星? その2
地球ってどんな星? その3
地球ってどんな星? その4

続きを話そうか。

 

 

どこまで話したかな?

地球の子は、元々、昔に来た宇宙の子が形を与えたって言ったよね。

「形ってなに?」

 

人の形さ。

 

「人の形?」

 

そう、今あるこうした人としての形、……姿と言う方がいいよね。姿はその昔に来た宇宙の子が与えてくれたものなんだ。

 

「えー、それって元々は違う形だったの?」

 

うん、そうだね。元々は違ったんだ。

 

それにね、昔に来た宇宙の子は、この地球に住めなかったんだよ。

 

「えー、どうして?」

 

 

空気が合わなかったんだ。
酸素という大気が毒でね。宇宙服でも着ていないとこの大地に立てなかったんだよ。

この素晴らしい地球に降り立ったとき、その美しさ、素晴らしさ、緑豊かな大地を前に、為す術がなくてね、どれだけ悔しがったか。

 

「なんで、そんなに悔しいの?」

 

自分たちの元の星から逃げ出してきたからね。帰るつもりのない宇宙の旅に出ていて行き着いた先だったからさ。
自分たちの星も先祖が、戦争を繰り返して大気を汚してしまってね。大地の上に人が住めないようなくらい酷い有り様になってしまったんだよ。でも科学力は素晴らしくてね。地下に逃げ込んで、その中で生活できるようにしたんだ。

それから何百年も経て、やっと“そこにある力”を使えるようになって、宇宙船を作ったんだ。その船でこの地球までやって来たら、元の自分たちと同じように大気が毒だったの。

 

「なんだか可哀想」

 

そうだね。元の星の大気を汚したのも、先祖とはいえ自分たちだもの。なんとか修復を試みていたんだよ。その“そこにある力”でね。でもそれを使っても修復には3000万年はかかるって計算だったんだ。

 

「3000万年!! 何それ、数字が大きすぎて想像出来ないよ」

 

 

そう、あまりの途方もなさと、自分たちがやって来た罪の重さを実感したんだ。

 

“そこにある力”はもの凄くてね。宇宙船も動かして、どこにでも行けるくらいのスーパー科学力ってほどのものなんだ。その力を駆使してでも3000万年が最短の再生時間だったんだよ。それでも更に星が息を吹き返して、この緑溢れる地球のような姿を取り戻すにはもう600万年はかかるだろうって計算だったの。だから宇宙へ飛び出したんだ。

 

“そこにある力”を使って、星の再生は自動的なんだ。その子たちが手をかけなければいけない訳じゃない。自分たちがいない方がきっと再生する時間も早い筈だ。と思ったんだよ。でも、星を捨てるなんてダメだって意見も多く上がってね。せっかく一つにまとまっていた星の仲間同士で、また争いを起こしてしまったんだよ。

 

大気を汚した戦争をまた繰り返してしまったんだ。

 

出て行きたい人だけ出て行かせたらいい筈なのに、見送るのではなく、壊そうとしたんだ。
それも、その星の再生計画の一部だったんだけど、それはまた別の話になるから今度ね。

なんとか星から抜け出せた宇宙船が辿り着いた先が、この地球だったんだよ。

 

その時の感動は今も忘れないよ。

 

「え、おじさんってその昔から来た宇宙の子なの?」

 

はは、どうかな〜?

 

昔に来た宇宙の子は、途方に暮れてね。
生きる気力を失ってしまったんだ。

緑溢れる大地を前に、どうすることも出来なかった。

“そこにある力”を使っても、星全体を創り変えるなんて出来やしないし、生態系から全てを壊しかねないからね。

結局諦めて、宇宙船で過ごすことにしたんだ。

 

それでも、目の前に広がる自然と共に過ごすのは、心が安らいだんだよ。

 

 

それから沢山の時が過ぎて、あることを思いついたんだ。

それは間力学を駆使した遺伝子操作の技術でね。人の形なるものを創り出せないか? と、当初から懸案されていたものに対して技術が追いついたんだ。

 

「どういうこと?」

 

それはね、人を創るってことなんだ。

昔来た宇宙の子に似せて、地球の子を創り、この大気に適応できる人型を用意しようとしたんだよ。地球のあらゆる動植物を研究してね。そして創ってしまったんだ。

 

「ええ、人って創れるの?」

 

どうだろうね? 物語だよ。
真に受ける必要はないさ。

ただ、そう考えたらどうだろう? って話しをしているんだよ。

 

「なんだ、嘘なの?」

 

ふふふ、そうだね。嘘かもしれないね。
ただ、そうした本当なら信じる。嘘なら信じない。
そうした心の働きも、元を辿ると“許さない心”から来ているものなんだよ。

 

「えー、だって、今、真に受けなくていいって言ったじゃない」

 

真に受けてもいいし、真に受けなくてもいいよって伝えているんだよ。

おとぎ話をしているからといって、それが嘘とも限らない。だからといって、本当だと真に受けて考える力を使わなくなるというのもおかしいって話しをしたいんだよ。

 

この話しを嘘と言えば、考える力は養われるかい?

 

「考えないと思う」

 

そうだね。なんだSFか。とか創作話か。と斬り捨ててしまえば、頭は平和でいられる。

それを本当かも知れない。でもにわかに信じられない。でもどうして信じられないのだろう? なんで信じちゃいけないんだろう? って考えることは出来るよね。でも、そんな考え持ったら頭は大忙しだ。平和でいられなくなる。

 

“許さない心”は、知らないうちに人と人との間に溝を創るんだ。
昔来た宇宙の子も、あれだけ戦争が無意味だと気づいた星に住んでいながら、星を出るとき多くの仲間を犠牲にしてしまったんだよ。

 

だからいっぱい考えた。
どうしたら、人が人を傷つけないように出来るのか? ってね。

新しい人の形をした人間ってものを創り出したからといって、自分たちの犯した過ちをまた繰り返してしまうのではないかと思ったんだよ。

もっと簡単に学び気づけるように出来ないか? って思ったの。

 

昔来た宇宙の子たちの星の歴史も、戦争の前はとても平和で豊かなんだ。素晴らしい程にね。でもある時、何が原因かも分からぬところから対立がはじまり、瞬く間に戦争に突入してしまうんだよ。この地球とよく似ていると言ってもいいかな。

 

だから、戦争になる前に、自分たちが過ちの中にいることに気づけるように、身体の仕組みを変えたんだ。昔来た宇宙の子に似せて、地球の子を誕生させたんだよ。

 

第一に、みんな互いに繋がり合っていることが分かる身体にしたんだ。
第二に、相手の気持ちがわかる身体にしたんだ。
第三に、同じ考えを持たないような身体にさせたんだ。
第四に、感情を制御しないような身体にしたんだ。
第五に、痛みを増幅して感じられる身体にしたんだ。
第六に、人や自然と深く関わらないと生きていけないような身体にしたんだ。
第七に、他人の苦しみがわかるような身体に変えたんだ。
第八に、より良いことしか思いつかないような身体に変えたんだ。
第九に、優れた肉体と、恵まれた精神と、脆弱な肉体と、退廃していく精神とを合わせ持たせた身体に整えたんだ。
第十に、見えないものを見る力と、見えるものを見間違えたままにする力を身体に付与したんだ。
第十一に、振り返ることでしか学べないように、過去の全てを思い出せる力を身体に聴くことで答えを得られるように変え続ける力を持たせたんだよ。

 

昔来た宇宙の子は、二度と自分たちの星と同じようにしたくなかったんだよ。それには、いつでも自分を改められるようにしておく必要があったんだ。

それは強靱な精神や、再生する肉体に創り変えるのではなく、もっとも弱い心と、もっとも痛みに敏感な肉体でなければ、人は人に優しく出来ないと考えたからだよ。

ただ、それは途方もない年月をかけて学んでいく事になると知っていたんだ。

 

気の遠くなるような歳月を経て、平和を愛する心が養われたんだよ。

それはとてもうまくいったんだ。

 

 

けれどね、昔来た宇宙の子が、関与しなくてもいいぐらいに地球の子は優しい子に育ったころに、新しく宇宙の子がやって来たんだよ。

新しく来た宇宙の子は、地球の子の優しさと素晴らしさに感銘を受けてね。一緒になって遊んでくれたんだ。好奇心旺盛な地球の子は、沢山のことを学んでいったの。でも、それと同時に新しく来た宇宙の子の心までも写し取っていったんだよ。

 

 

地球の子と宇宙の子の身体の基本的な性質が全く違ったの。

それは一見何も違いが無いくらいに同じように見えたんだ。だから新しく来た宇宙の子は、その違いが分からなかったの。ただ繊細な子だと思うくらいだったんだよ。

宇宙の子たちが抱える心の奥底に隠した思いまでも、汲み取って映し出すなんて知らなかったんだ。宇宙の子たちは、心を制御することは造作もなかったけれど、地球の子の心は、制御するようには出来ていなかったんだ。でも、宇宙の子は「制御しなさい」と教えるんだ。地球の子も人と人とが争うことはしたくなかったの。だからなんとか言うことを聴いて従おうとしたんだよ。

 

でもね、我慢して従おうとすればするほど、我慢しきれなくなったときの反動が大きくてね。結果、いつも戦争という形で、感情の解放が起きて、人と人が殺し合うようなことしか出来なくなっていたの。それを見ては新しい宇宙の子は、ため息をついていたんだ。

 

そうして、宇宙の子たちは、自分たちも地球の子に生まれ変わっていることに気づいて、はじめて自分たちは関与してはいけない星に関わっていると気づいたんだよ。

それは、もう二度と争うことはないと誓えた仲間たち同士で、戦争を起こすようなことが起きてきてしまったからなんだよ。新しく来た宇宙の子の仲間同士で、喧嘩じゃ済まない争いごとをはじめてしまったんだ。

争いは破壊しか生み出さず、破壊という短絡的な行為がもたらす結果に意味などなく、考えるほどに不毛なことだと気づける筈なのだが、それを無視してでも力で相手をねじ伏せるようなことが起き始めたんだよ。

 

「え、宇宙の子も戦争しちゃったの?」

 

そうだよ。自分たちの星で、争いになってしまったんだよ。

それはもう、悲惨なところじゃないんだ。

星から星へ移動できるスーパー科学力(間力学)があるだろう?
この力を使えば、星など簡単に滅ぼすことができるんだ。
それにも関わらず、争いという無知な関わりで、思い通りにしようとする働きは、宇宙の子同士でもよく理解出来ないことだったの。

 

「ええ、どうして? とても賢く優しかったんでしょ?」

 

そうだよ。とても賢く優しかったんだ。
地球の子の争いを悲しそうに見守るしかなかった自分たちが、まさか放棄したはずの戦争という程度の低い交渉手段を使うとは思いもよらなかったんだよ。

 

こうした同胞との戦争の切っ掛けが、どうやら美しい地球に関与したからではないか? という話しが持ち上がり、転生して自分たちが地球の子に取り込まれていることが分かり出すと、一斉に手を引こうと動き出したんだよ。

 

でも、手遅れだった星も出て来てしまったんだ。

 

いくつもの星からこの地球に来て、沢山の地球の子と関与していた宇宙の子のうちの一つのグループの星が戦争の結果、崩壊して星がなくなってしまったんだよ。

 

「ええ〜、どうして?」

 

それがその時はよく分からなかったんだよ。
沈着冷静として名の知られた宇宙の子が、話しを聴かなくなるなんて有り得ない事だったからね。戦いもやめないし、襲ってくるから反撃するしかないし、その襲い方も常軌を逸するような我が身を省みないような姿で来るのだから、襲われる方も余裕などなくてね、結果、双方の総攻撃が苛烈を極めて星の中心核を壊してしまう程の、戦争をしてしまったんだよ。

 

後々にね、地球の子と深い繋がりを持つと、地球の子が我慢を強いられると、その我慢した心のエネルギーが宇宙の子に伝わり、そこで噴出するものだったの。

直接関与している宇宙の子はなんともなくて、その宇宙の子の親類や知人に大きな影響を与えることになったんだよ。

 

「なにそれ、わかんない」

 

そうだね。難しいよね。
あなたが宇宙の子として、地球の子と遊んでいたとするでしょう?

 

「うん」

 

地球の子がわがままを言いだしたとき、君は「ムッ」とする気持ちを我慢して、言うことを聴いてあげたとするよね。

 

「うん」

 

するとね、君のお父さんが、憤慨していきなり、お母さんを責めはじめる。なんてことが起きるって話しなんだよ。

 

「なにそれ、意味分かんない」

 

地球の子Aちゃんが、宇宙の子Bちゃんに、我慢を強いるようなことを言うとするね。
この場合、「あなたたちと同じように、何でも出来るようにして」と言ったとするね。
すると宇宙の子Bちゃんは、困ってしまうの。言うことを聴いてあげたいけど、自分から出来るように一生懸命になることよりも、教われば出来るという考えもせずに思い込んでいる姿に、呆れてしまうのね。宇宙の子Bちゃんは、本当は「自分で考えなさい」と答えたいところ、グッと堪えて我慢してしまうの。それを伝えたら地球の子Aちゃんが断られた不満を他の地球の子にぶつけることを知っていたからね。だから、我慢したんだよ。

すると、宇宙の子Bちゃんの大切な家族、ここでは兄、Cくんが、遠く離れた自分たちの星で、意味もなく不愉快な気持ちになってしまうんだよ。そしてその苛々の原因を宇宙で活躍している人たちのせいにして、猛攻撃し始めるって流れが起きていたんだ。

 

「じゃぁ、なに? Bちゃんが我慢すると、兄のCくんが怒り出すの?」

 

そういうことだよ。

 

地球の子の中にもよく見かける筈だよ。
母親が悲しい気分になるのを我慢していると、子供が泣き出すって姿としてね。

 

「ええ〜、あれってそういうことなの?」

 

そうだよ。

 

「じゃ、我慢させちゃいけないじゃない」

 

そうだよ。我慢するように出来ていないんだ。
この地球の子の身体はね。

 

このメカニズムが見えて来た宇宙人は慌てふためくんだ。
ひとつの星がなくなってしまったからね。

地球の子と関わると、その影響が母星の方に出てしまうんだ。

手の打ちようがなかったんだよ。

 

地球の子の精神はとても強靱でね。
我慢比べして、勝てる宇宙の子は一人も居なかったんだよ。

 

この地球の子との関わりで、沢山の宇宙の子たちは困り果てることになるんだ。
戦争を放棄した筈なのに、戦争が起きてきてしまったの。
仲良くしていた宇宙の子同士でも、争いが生まれるなどして、混乱に拍車がかかるだけで、収拾していけなくなってしまったんだ。

今すぐにでも、地球との関わりを全面的に断ちきらないと、コントロール不可能となって平和を維持できないと考えたんだよ。

それで、宇宙の子たちは、一斉にみんなで引き上げたんだ。

二度とこの星に関わらないと決めてね。

 

こうして、宇宙の子たちは、地球の子が「行かないで」と泣いて叫んでも聴く耳を持たずに、居なくなったの。たっぷり甘えさせるだけ甘えさせておいて、いきなり消えたんだよ。

 

「可哀想」

 

そうなんだ。本当に可哀想な状態になったんだよ。

 

宇宙の子たちとの繋がりを断たれた後が、また大変だったんだよ。

 

 

さて、この続きはまた今度としよう。

聴きたくなったらまたおいで。

 

 

優しい気持ちは、沢山の痛みを許しているから与えられるもの。

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