それもまた夢だと笑えばいい その3

−それもまた夢だと笑えばいい− その1 その2

強い不快感と共に目が覚めた。

まただ。

起きても、まとわりつく不愉快さが離れないでいるのがわかる。

この抑圧感はなんだ?

したたり落ちる汗を拭いながら、自分が今正常な状態でないことを実感する。

これは変だ。

とても正気だとは思えない。

そして、人に話したいような内容でもない。

 

今回のはさすがに、日中に起きた職場の人間関係が起因していると思えた。

思えば、彼女の頭を下げる光景が、繰り返し思い出されるのは、それだけ自分が気にしているということだ。

振り払うことなどせずに、一度じっくりそれについて考えてみよう。そんな気になった。

とにかく手を打たないと、この不快感を拭い去ることは出来ないのではないかと思った。

彼女を嫌っているわけでもないし、気にしているつもりもない。

自分の仕事ぶりについて、自責に囚われるようなこともない。

人を恨むこともしていないし、恨まれるようなこともしていないつもりだ。

会社でも、丁寧に対応しているつもりだ。粗相がないとは言えないが、悪夢でも見たかのような寝汗をかかなければならないほど、ひどい扱いをされなければならないほどのことはしていないと思っていた。

 

人が私をどう思うかなどは知らないが、取り立てて関心を持たれるような人柄ではないと思っていたが、恨みの方は無頓着でもあったと思う。何しろ、付き合いが悪い。素っ気ないし、仕事には厳しい方だという自覚はある。嫌われて当然な要素を考えると、自分でも笑えるほどに十分恨まれていいような気がしてくる。

世の中には色んなタイプの人がいる。

それが彼女だって有り得るわけだ。

 

ため息が出て来る。

 

それだけ、自分に余裕がないことが、そこからうかがい知れる。

 

 

勝手に思われているとしたら、なんと対処したらいいのか?

何を言う?

この寝汗のこと? 阿呆らしい。笑いものになるだけだ。

こっちの思い込みと言われるのがオチだ。

私自身が心療内科に厄介にならないといけなさそうだ。自分で言うのもなんだが、それほど心神耗弱しているとは思えない。にしてもだ、この寝汗は尋常じゃないことは事実として伝えてくれている。

根付けの悪さも、心理的側面しかないようにも思える。

あー、考えたくない。

 

何で自分がこんなことを考えて悩まなければならないのか?

彼女は関係ないかも知れない。

別の問題の可能性だって十分ある。

 

運動でもするか?

ストレスを溜め込まないよう、スポーツでもするか、何か発散できるようなものをするかだ。

そっちの方が余程正常っぽいわ。

心のことなどに構ってられない。

その手のものは嫌いではないが、科学的臨床データから統計的に取られたものなら信じるが、そうでない胡散臭い話しは、ちょっと遠慮願いたいものである。だから、こんな寝汗かくようなものは、運動してサッパリしてから熱い風呂は行って寝ればいい。

それで十分対処になるはずだ。

 

 

しかし、今はその気分にはならん。

この夜中にジョギングってほど、気持ちが入っている訳でもなかった。

そして、自分自身でこの不快感も気のせいではないか? このまま寝ても案外簡単に寝られるのじゃないかという楽観視はあった。一々深刻にならんだろう。

冷ややかに自分を分析しては、もう一度横になった。

寝苦しさ感はあるものの、しばらくして眠ることとなった。

 

 

「うわぁ」

自分の放った声に自分で驚いて、飛び起きた。

夢だ。

仕事を黙々とこなしている自分に、何かが覆い被さって来た感じがあり、それに驚いて声を出したんだ。

そのシーンだけは鮮明に覚えていたが、なぜ仕事をしていたとか、その細部までは全く記憶になかった。

あれから10分と経っていなかった。

 

うわ、なんだこの汗わ。

そう、再び寝汗でびっしょりだったのだ。

嫌な気持ちが輪をかけて覆い被さるのを感じていた。

 

 

 

 

言霊師改め、噺家へ転向していくわ。

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