それもまた夢だと笑えばいい その8

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うるさい、黙れ、知っている、そんなことはわかっている、笑うな、いや、笑うよな……彼女の言葉を枕元で聞きながら、先ほど飲んだビタミン剤と手製のホット蜂蜜レモンを飲んで寝ている。

「甘すぎるわ」と言いながら、うまいと感じている自分を思い出しては素直じゃないことを自覚した。

 

よく笑う。

けど、それが少し気持ちがいい。

無理矢理彼女が来る前にシャワーだけ浴びて、人を迎え入れる最低限のことだけやってのける自分の生真面目さが恨めしく思うが、性分だから仕方がない。幸い悪化した感じはないが、人前で格好つけているつもりはないが、片付けをしていたなんて言えば目いっぱい怒られるのが目に浮かぶからやはり言えないでいる。

言いたいことを言い終えたのか、電気を消して部屋を出て行った。

キッチンで何かしているみたいだなと、思っている間に寝てしまっていた。

 

 

 

 

何かに掴まれている。

動けない。

振りほどこうとも、力が入らない。

神経が通っていないような、重い感じがして、手も足も鉛のようになっている。

声も出ない。

目も開かない。

これは夢だ!

そう気づいたとき、意識が戻って目が開いて起きた。

 

 

彼女がそこにいた。

時計の小さな明かりで、その気配に気づき、「怖かったんだね」と思いもよらぬ一言を聴いた。

 

何かが外れた音がした。

不覚にも泣いた。

止めようがなかった。

なぜ泣いているかもわからない。

汗でびしょ濡れになった寝間着の袖に顔を押しつけて声を殺した。

見られたくなかった。

見せたくなかった。

それがなぜかはわからないが、たまらなく恥ずかしかった。

泣き止ませようと思考は働くが、それとは関係なく涙が溢れ出てきて、「もういいや」と泣くに任せた。

 

それ以上彼女は何も言わずにそこにいてくれた。

恥ずかしいやら、どうしていいやらわからずに、泣き止んだ後も目が冴えたまま過ごした。

どれだけの時間が過ぎたかわからぬが、突っ伏したままというのもバツが悪いので起きることにした。部屋の中央に垂れ下がっている紐を引いて明かりをつける。

寝間着姿の彼女がいた。

その姿で、傍らでうなされているオレを見ていたらしい。

そこから、彼女のオレのうなされ姿の観察報告がはじまった。

もう、笑うしかなかった。

 

 

 

平気だよ、大丈夫だよ、気にしないでって、言うこと聴いちゃダメだからね。

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